キリマンジャロ登山(3) 4日め~6日め

・4日め(12月23日)

 この日はホロンボハット(3720m)から最高所の小屋キボハット(4720m)まで。5時間くらいの行程なので、朝は特に急ぐ必要もなくゆっくり朝食をとって8時20分に出発。4300mを超えた辺りから灌木帯もなくなり砂漠地帯となりましたが、岩がゴツゴツしたいわゆるガレ場は少なく、小石混じりの砂のような所がほとんどで歩きやすいです。

 ここまでは皆元気で順調・・・だったのですが事態は急変。ガイドが突然計画を変更。「今日中に山頂まで登ってしまおう!」と言い出しました。
 本来は翌日深夜にキボハットを出発し早朝に頂上に到達する計画でしたが、それよりも安全で成功率も高いからというのです。想定外の提案に驚きましたが、キボハットで眠ると高山病の症状が出るとの話を聞いたこともありますし、何より経験豊富なガイドの判断なのだから間違いはないのかなと思い・・・暗くなる前に山頂につけるのか心配でしたが、それについても「全然問題ない」というので、3人で相談して提案を受けることにしました。しかし、これが失敗でした。

 キボハットまでは予定よりも早く到着し、ランチ休憩後に出発したのは13時20分。後で調べてみるとここから山頂までは6時間以上かけて登るが基本のようなので、この出発時間は遅すぎです。
 もし、一気に山頂を目指すのであればホロンボハットを6時くらいに出るべきでした。8時過ぎに出て途中で方針変更なんて無計画にもほどがあるのですが、キリマンジャロ登山が初めての私たちが、この時点でそれを判断することなど出来ず・・・。

 標高5000mを超え、高度が増していくにつれて傾斜もきつくなってきて、また空気も薄くなるので息切れしやすくなり、休み休み登りたいところ。しかし、ガイドは休まない。
 「こまめに休憩させてくれ」との私たちの依頼を無視してガンガン登っていく。明らかに急いでいる・・・昨日までの「Pole Pole !(ゆっくりゆっくり)」は何だったんだ?

 キリマンジャロの山頂付近は富士山頂のように「お鉢巡り」をするような構造になっていて、剣が峰に相当する本当の山頂Uhuru Peak(5895m)以外にも、登頂の指標となるポイントがいくつか存在します。その指標の1つGilman’s Pointを直前に控え、ついにIさんがダウンしてしまいました。無茶苦茶なペースだったので無理もありません。「多分体内酸素濃度が急激に下がったんだと思う」とのことでした。

 励ましながら何とかGilman’s Point(5685m)まで到達しましたが、ガイドのタディは「バブー(スワヒリ語でおじいさんの意見)は良く頑張った!」と、ここでIさんを下山させてしまいたい意向が見え見え。Iさんは、年齢は60過ぎで白髪ですが、普段から結構鍛えていて本来であれば何の問題もなく山頂へ到達出来る体力のある方です。私はタディの態度に腹を立て、休憩もそこそこに早くも出発しようとするのを却下して、ここで充分休憩を取りIさんの回復を待つことにしました。私自身もかなり消耗していましたから。
 
 幸いにも、しばらく休憩するとIさんの体調は少し回復し、またアシスタントガイドのエマニュエルがIさんの荷物を代わりに持ってくれることになり、山頂に向けて再出発。ここからは、なだらかな登りなので気力さえ残っていれば何とかなる道のり。途中、もう1つの指標であるStella Point(5756m)などでの休憩を挟み、18時30分ついに山頂Uhuru Peakに到達。息苦しくてヘロヘロの状態でしたが、何とか暗くなる前に到着出来ました。

 キボハットまでの帰り道は暗い中をヘッドライト点灯で下山。良く考えたら、夜間は登りより下りの方が危険度は高いのに、ガイドの判断一体何だったんだ?・・・最終日はクリスマスという日程だから単に早く帰りたかったという理由か?
 既に私たちはタディのことを全く信用しなくなっていたので、急斜面を直滑降するようなルートを選ぶ彼を完全に無視して、元気が戻ったIさんを先頭にジグザグのルートで慎重にゆっくり下山しました。疲れ果てて、所々で滑って転倒したりしましたが、都度エマニュエルに助けてもらい21時半頃に何とかキボハットへ帰着。3人とも夕食を摂る元気もなく、そのままベッドへ倒れこみました。
 
  
・5日め(12月24日)

 体調最悪。キボハットへの下りの途中から頭痛がひどく、胃腸の状態も悪く夜中に何度か吐きました(食べてないんで胃液しか出なかったですが)。急激に高度を上げたせいで高山病になってしまったのかもしれません。山頂でなく、下山時や降りた後に症状が出るものなのかどうかは分かりませんが。朝食時も食欲全くありませんでしたが、そんな私たちにシェフのスープは優しかった・・・。これで少し復活!

 早くに出発しようとするガイドのタディを無視し、体力を回復させることを優先して遅め(10時過ぎ)の出発にしました。ホロンボハットまで3時間程度下るだけなので、急ぐ必要はありません。きっとタディはもう1つ下のマンダラハットまで一気に降りてしまいたかったのでしょうが・・・。

 夕食後に今回のスタッフ全員が集まる機会がありました。私たちが一人ずつお礼のスピーチをした後で記念撮影。タディは「この場でチップを配ってくれ」と要求しましたが、私たちは「下山後ディオニス(ツアー会社の代表)に相談して皆に分配する話になっているから」と、この場での配布を拒否しました。渡すのが翌日になったって別に困らないでしょう・・・他のスタッフはそれでいいと了承してくれましたが、何故かタディだけは納得いかない様子。
 
 
・6日め(12月25日)

 登頂後の下りは、怪我にだけ気を付けて淡々と降りるだけ。いつでもそうですが、下山ってあんまり楽しいものじゃありません。縦走ルートであれば違った景色を楽しめますが、今回は来た道を戻るだけなので・・・。5時間ほどで無事マラングゲートまで帰り着きました。

 ここでディオニスと奥さんの出迎えを受け、また公園事務所から登頂証明書を発行してもらいました。途中で帰ってしまった本来のガイドであるデオも来てました。ディオニスの話によればデオは相談することもなく勝手に下山してしまったとのこと。「あり得ない!」と凄く怒っていました。

 残るはチップ。登山前に予めディオニスに相談して総額は全料金の15%くらいと聞いていたので、1人200ドルの3名計600ドル。これを今回のスタッフにどう分配するか・・・前日夜の相談段階では、まず途中で帰ってしまったデオにチップは不要だろうというのは全員一致。他のスタッフに関して、私の案はネット情報等を元に1日当たり金額×6で
 ・アシスタントガイド 15×6 = 90ドル
 ・コック 15×6 = 90ドル
 ・ポーター 10×6 = 60ドル  ×7名 = 420ドル
 タディはチップ無しというドライなもの。それに対して、Iさんは「さすがにガイドにチップなしはまずいのでは?」という意見で、他のスタッフのチップを少しずつ削ってガイドに充てるものでした。Tさんは2人の決定に任せるとの立場で、最終的にはディオニスと相談しようということにしたのですが、その場で決定的なことが・・・。

 まだガイドとして信用していた頃にタディに「下山後にキリマンジャロコーヒーを買いたいから、いい所あったら紹介して」と頼んでいて「それじゃあゲートの所に取り寄せておくよ」と言われていたのですが、そのコーヒーを手に私たち3人とディオニスの前に現れるタディ。値段は1袋250グラムで10ドルだという・・・そんなの日本で買うより高いじゃん。しかも250グラムって言ってるけど、どう見たって100グラム程度にしか見えないし、ただのビニール袋に入っているだけで本当にキリマンジャロコーヒーなのかどうかも怪しい。我々からぼったくろうとしているのが見え見え・・・これには、さすがにIさんも呆れ果てタディはチップ無しで決まりました。

 ディオニスも今回のタディのスケジュール変更には立腹のようで、私たちに謝罪するかたわら「今後2度と彼に依頼することはない」と断言していました。
 まあ、私たちは何だかんだいっても結局登頂出来たので「過ぎたことはどうでもいいや」という気になれますが、ツアー会社側からすれば顧客が無理な行程で病気にでもなったら信頼を損ないますから、その判断ももっともなことです。

 今回、ガイドだけは残念でしたが、アシスタントガイド、コック、ポーターさん達には感謝していますし、全体的には満足しています。何といっても「3人揃って登頂すること」が重要だったので、それが果たせればガイドの問題など大したことではありません。天候にも恵まれ、雨天用に備えていた登山靴は結局使用しませんでした。

 最後に、登山道・小屋の混雑度についてですが、全体を通して空いていました。最終日(25日)に急激に人が増えて多くの「これから登る人」とすれ違ったので、クリスマス過ぎから年末年始にかけて登山客が集中するのかなと思います。

4300mを超えた辺りからは植生のない砂漠地帯

4300mを超えた辺りからは植生のない砂漠地帯

山頂部

段々山頂部が大きく見えるようになってきました

キボハット(4720m)

キボハット(4720m)

Gilman’s Point(5685m)

Gilman’s Point(5685m)

Stella Point(5756m)

Stella Point(5756m)。向こう側に見えるのが山頂のUhuru Peak

氷河

赤道付近でも氷河があります。でも地球温暖化の影響で急激に減少しているのだそう

Uhuru Peak(5895m)

Uhuru Peak(5895m)

スタッフの方々と記念撮影

スタッフの方々と記念撮影

ホロンボハットの朝日

ホロンボハットの朝日

ポーター兼務で給仕を務めてくれたジョセフ

給仕を務めてくれたジョセフ(ポーター兼務)
現在ガイドになるための勉強をしている好青年

夕食

夕食。美味しいのですが、量が多過ぎて食べきれません

朝食

朝食

コメントはまだありません。

    コメントフォーム

    post date*

     日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

      トラックバックURL: